2013年10月24日木曜日

はかなさと大胆さと(1009asahi)

日産アートアワード8人の競演

 次代を担う表現者を対象とした「日産アートアワード2013」の最終候補者8人による現
代美術展が11月4日まで、横浜市中区海岸通の「BankART Stud・10 NYK」で
開かれている。
 グランプリ(賞金500万円)を受けた宮永愛子(1974年生まれ)は、港の見える窓際に、ナフタリンや樹脂で作ったスーツケースをいくつも並べた。港町・横浜に想を得た表現
で、ナフタリンは持とともに消える存在でもある。
 審査委員長の南催史生・森美術館長は「場所の特性を生かした上に、すべてのものは永遠ではないという価値観が伝わる」と評価。賞を創設したカルロス・ゴーン社長も「革新的で創造性豊か」と感想を述べた。
 宮永と最高賞を競った西野達(60年生まれ)は、審査員特別賞に。近代化の先進地・横浜にちなみ、展示室に公衆トイレと上下水道のシステムを持ち込む大胆な表現を見せている。
 映像作品も多く、安部典子(67年生まれ)は、中央がくぼんだ多層的なスクリーンに波の画像を投影し詩的な表現に。小泉明郎(76年生まれ)は、戦時中に特攻隊員の恋人と死別した女性に思い出を聞き、さらに亡き恋人と対話をさせる。演出通りにならないところに、′歴史の受容の難しさ、個別性が浮上す
る。
 ほかに、増山裕之、篠田太郎、鈴木ヒラク、渡辺英司が出品している。

0 件のコメント:

コメントを投稿