2012年9月20日木曜日

重厚・豪華期待集め40年(918asahi)

国書刊行会、各地でフェア

 「世界幻想文学大系」など重厚なシリーズものを刊行し続け、不況の出版界にあって異彩を放つ国書刊行会が、創業から40周年を迎えた。全国各地の書店でフェアを開催、記念出版などを行っている。
 フェアは今月、全国約70書店で開催。円城塔や皆川博子、佐野史郎ら61人があげた「国書刊行会の好きなな本」が並ぶ。国書刊行会と云えば、金箔使いなど豪華な造本・装丁も魅力で、迫力ある一角が各店に出現。61人のコメントを集めた小冊子「私が選ぶ国書刊行会の3冊」も無料で配布している。
 40周年記念で「新編 バベルの図書館」シリーズの刊行も始まった。アルゼンチンの文豪ボルヘスが個人で編集した世界文学全集で、20年前に全30巻で出たが、あらたに国・地域別に編み直して全6巻で刊行。8月から隔月刊の予定だ。
 学術資料書籍の復刻出版を目的に設立。文学から思想、宗教、芸術全般、絵本まで幅広く、影響を受けた作家も少なくない。
 今年刊行したのは、細江英公の写真集『創世記』(2万1千円)、『手塚治虫トジャー・ボックス2バンパイヤ』 (1万6800円)、『幻想文学講義』(6720円)など。見た目も価格もデラックスな本が多い。だが、業績は、東日本大栗次の後もほとんど変わらないという。
 本を愛蔵したい読者が多いのだろう。礒崎純一編集長は「そっけない装丁だと、国書らしくないといわれる。部数が少ないので凝ることができるのですが、それだけに、読者の期待を裏切りたくない」と話す。編集者もそういう出版社を愛している。「企画は、私
が面白いと思えば通る。あとは編集者に任せ、意見を出し合ったりしない」。それが国書刊行会らしさを継続させる秘密なのかもしれない。   (吉村千彰)

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