2010年9月14日火曜日

「美術館は小宇宙」(901asahi)

オランダ改築騒動が映画に

 レンブラントやフェルメールの名作で知られるアムステルダム国立美術館が、改築をめぐる巌動で7年にわたり閉館中−。オランダで起きている事態を措いたドキュメンタリー「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」が公開中だ。なぜ、そんなことに?
 映画にも登場するメンノ・フィツキ同館アジア美術主任学芸員に聞いた。
 19世紀初頭に起源を持つ同美術館。老朽化などで2003年に「閉館」し、5年の予定で改築にとりかかった。だが理想主義的である館長の計画に、敷地を日常の交通路に使う地元市民は大反発。映画はこの衝突を軸に、学芸員や建築家、準備鼻らの、時に偏愛的な情熱を措く。
 結局、館長は交代し、再開は2013年に延びた。「今は順調に進んでいる」というフィツキさんが騒動で実感したのはコミュニケーションの大切さ。「とことん耳を傾ければ、意見の異なる相手も納得するかもしれない」
 映画での学芸員たちは、市民から突き上げられても展示づくりに余念がない。「美術館は世間と違う小宇宙。それを見せるのも大事かと」
 カメラは、展示品をシビアに選抜する場など美術館の裏側にも入っていく。「自らの責任を美術館が明確に示すべき時代。近寄りがたい、権威に満ちた『美の殿堂』だけではいけないんです」
 東京・渋谷のユーロスペースで公開中。順次各地で。(小川雪)

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