2012年3月24日土曜日

日常に異なる視角(321asahi)

「メグロアドレス」展
 階段の踊り場から見下ろすと、普段は舶用の通路のようなスペースの壁が白く塗られて
いて、さながら展示室。長坂常は日常に異なる視角を与える。東京・目黒区美術館で4月1日まで開かれている「メグロアドレス」展は、こうして始まる。目黒区ゆかりの若手6作家による展覧会だ。
 乾漆による人物像を見せる保井智貴や、=身近な風景を主に鉛筆で描く須藤由希子など、表現は多様。なかでも、スタイリッシュな展示を見せるのが、青山悟と平石博一のふたり組だ。19世紀の曲を平石が編曲した現代音楽が流れ、その楽譜を青山がミシンで刺繍にするさまが映像で投影される。傍らには仕上がった刺繍の譜面。「労働」がテーマに気づかずとも、薄暗い空間で、ミシン針とシンプルな音の反復に身を浸していると、見る側の神経も共振してゆく。

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