2010年6月15日火曜日

第1回金沢・世界工芸トリエンナーレ(602asahi)




工芸の技多彩


 「職人技」あるいは「用の美」。そんな常套句ではくくれない工芸の作品展が、伝統工芸の街・金沢で開かれている。金沢市などが共催する「第1回金沢・世界工芸トリエンナーレ」だ。作家45組、約150点の多彩な作品が並ぶ。
 いずれも工芸の技法による現代美術の作品、といえるだろう。とすると、工芸と美術の違いは何か、という問いが浮かび上がる。会場は複合施設のワンフロア。入り口近くに設置された、幅8メートルに及ぶ大型作品(橋本真之)が来場者を驚かす。銅板から、奇妙な生命体が
のたうつような造形をたたき出している。奥に進むと、裸体の男女が融合したかのような作品(青木千絵)に出合う。黒い漆のつややかな質感で造形の生々しさが際立つ。 いずれも工芸の技法による現代美術の作品、といえるだろう。とすると、工芸と美術の違いは何か、とい
う問いが浮かび上がる。 いずれも工芸の技法による現代美術の作品、といえるだろう。とすると、工芸と美術の違いは何か、という問いが浮かび上がる。
 展示のテーマは「工芸的ネットワーキング」。ディレクターの秋元雄史・金沢21世紀美術館館長は「工芸的な技術は美術やデザインなど他の分野にも広がっている。それを見せることで従来の『工芸』という狭い固定概念を取り払いたい」と語る。
 秋元さんや台湾の陶芸家ら4人がキュレーターとして作家を選び、各自の区画を構成した。結果、技法は陶芸や漆芸からファッションブランドによるテキスタイルにまたがり、表現も正統的な伝統工芸から先鋭的アートにまで広がる。混沌とも映る多様さ。通底するのは「あらかじめ(土や漆、金属など)素材を限定したうえで、技術によって表現の可能性を極める工芸的特質」だと、キュレーターの一人、金子賢治・茨城県陶芸美術館館長は説明する。
 20日まで金沢市本町のリファーレ。月曜休み。開催委(076・220・2373)。 (西岡一正)

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