2012年10月25日木曜日

ウォーホル作品2万点売却へ(1017asahi)

 アートシーズン開幕のニューヨークで、ポップアートの作家アンディ・ウォーホル(1928~即)の遺作を巡るニュースが話題を集めている。作品を管理するアンディ・ウォ
ーホル美術財団が、約2万点の放出を決定。今後数年をかけてほぼすべて売却すると発表した。

 アーティストの財団が収入源となる作品を手放すのは珍しい。が、ウォーホル財団の場合は、作品のイメージ使用料というドル箱がある。食器や時計などを彩るウォーホルのモ
チーフは、年間300万ドル(約2億4千万円)の収入をもたらす。一方、作品の保管には保険料や倉庫代など、高額な維持費がつきものだ。
 「売却による収入増はもちろんだが、保存や販売に要するコストを削滅し、アート助成に専念したい」。財団理事長の発言にもある通り、財団の使命は、アート団体やアーティ
ストヘの金銭的な援助なのだ。それが、現代美術を浸透させたいウォーホルの遺言だった。昨年度の助成総額は約1350万ドル。アート系財団としては全米屈指の規模である。
 放出作品2万点の評価額は総計で約1億ドル。70~80年代に制作された大量の版画作品や写真シリーズが中心で、手頃なウォーホル作品の将来的な高騰をもくろむ向きには、市場
飽和の感は否めない。
 「オークション、オンライン販売など反応を見ながら売却していく。グローバルなウォーホル市場にアピールするはず」と、拡大路線を強調するのは、販売権を獲得したオークション会社クリスティーズの代表だ。
 ウォーホルほどの名前があれば、世界のどこからでも参加できるネッ十販売に群がる新コレクターは多いはず。また、未発表の絵画や50年代のデッサンなど、レアものが飛び出
しそうなのが、11月12日に開催されるオークション第1弾だ。落札予想価格20万円台の版画から1億円を超えそうな三連画まで総数364点。単独作家のオークションとしては最大規模で、今後数年は続くウォーホル・ブランドの展開を占う機会となりそうだ。 (藤森愛実・ライター)

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