2014年4月4日金曜日

細密描写の  VOCA × 人物表現の FACE(326asahi)

新鋭の登竜門、二つの個性

 絵画などの平面表現を辛がける新鋭の登竜門たる二つの展覧会が30日まで、東京都内で開かれている。今年は、「人物表現のFACE」と「細密描写のVOCA」と呼べるような、持ち味の違いが表れている。
 西新宿の損保ジャパン東郷育児美術館で開催中の「FACE2014」展は、今回で2回目。年齢不問の公募展で今回は889人の応募があったが、受賞9人のうち7人が人物表現を手がけている。
 グランプリは、1988年生まれの川島優の「TOX1C」で、日本画によるモノトーンの表現。コンクリート壁の前でしゃがむ少女を精妙に措き、不穏な空気を漂わせる。

 これに対し、上野の森美術館のVOCA2014」は、全国の学芸員らが推薦した40歳以下が競う場として定着。21回目の今回は33人が出品しているが、受賞6人には細密な表現が目立つ。

最高賞のVOCA賞は89年生まれの田中望が日本画の画材で描いた「ものおくり」に。漂着した鯨を擬人化されたウサギたちがさまざまな祭礼によって弔っている図だが、鳥獣戯画をさらに細密にしたような表現に驚かされる。
 VOCAの受賞会見では東日本大震災後の意識が語られ、両展の選考に関わった本江邦夫・多摩美術大教授が、「じつくり描きたいという傾向があるようだが、もう少し社会
性、時代性が画面にあってもいいのではないか」と話した。(編集委員・大西若人)

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