2013年4月24日水曜日

岡本太郎と「化学反応」(417asahi)

記念館でチン↑ポムが新作展
 東京の渋谷駅構内に設置された岡本太郎(1911~96)の壁画「明日の神話」に2011年4月末、福島第一原発の事故をモチーフとした絵画を付け足した美術家集団「Chim←Pom」。ゲリラ的な作品発表が論議を呼んだ「事件」から約2年をへて、東京・南青山の岡本太郎
記念館で新作展「PAVILION」を開いている。

 記念館は岡本の住居兼アトリエで、現在は未完の作品を中心に展示する。平野暁臣館長は、チン←ポムの行為を「当初からアートの文脈で行われたと受け止めた。岡本をリス
ペクト(尊敬)している彼らを正規のステージに上げたらどうなるか、と考えて展示を提案した」と話す。
 作品は、福島の元避難区域や岡本の「太陽の塔」がある大阪の万博公園でカラスを呼び寄せる映像「BLACK OF DEATH 2013」、岡本の彫刻群のなかに紛れ込ませたキノコ雲をモチーフにした彫刻など。原発事故を経験した社会に潜むまがまがしさを暴き、「明日の神話」などで核兵器の脅威と人類の希望を措いた岡本の作品と響き合う。
 チン†ポムのリーダー卯城竜太は「ど真ん中のストライクでないと、(岡本との)いい化学反応が起きないと考えた。岡本の『対極主義』にならって、矛盾したものをそのまま
ぶつけた」と語る。その覚悟を示す作品が「PAVILlON」。養女の故・敏子が保管していた岡本の遺骨と、ベトナム反戦を訴える岡本の酉「殺すな」で、死を象徴する空間を構成している。  (西岡一正) ▽7月28日まで。祝日を除く火曜休館。

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