2012年1月26日木曜日

「見えない」部分に魅せられる(125asahi)

東京都写真美術館で「日本の新進作家」展

 次代を担う写真家による「日本の新進作家」展が、29日まで東京都写真美術館で開かれている。今回が10回目で、20~40代の5人の作品70点を集めた。いずれも撮影や写真処理の手法に特徴がある。
 添野和幸は、印画紙の上に物をじかに置き露光するフォトクうムを用いる。ガラス器のビールやウイスキーは、顕微鏡でのぞいた生物の細胞を思わせる。佐野陽一はピンホールカメラ。ぼやけた図像は、記憶の海からたぐり寄せた、おぼろな思い出のよう。春木麻衣子は、露出を極端にして撮影。白や黒で「見えない」部分の多い作品が、かえって想像をかき立てる。
 他の2人は労作。街で撮った写真数千枚を手作業でコラージュする西野壮平と、数十枚を多
重露光して−つの人物像を焼きつける北野謙。撮影から完成までの長い道のりを想像すると、そこに作家の身体が立ち現れる。 (新符祐一)

0 件のコメント:

コメントを投稿