2010年4月28日水曜日

「アリス・イン・ワンダーランド」(4月asahi引用)


素敵にイカれたキャラ設定

 懐中時計を持った白うさぎの後を迫って穴に転がり落ちたアリスが着いたのは、チェシャ猫や青い芋虫の賢者など奇妙な生き物が住むワンダーランドだった! 開巻早々、色鮮やかに、めくるめくファンタジーの世界が広がる。
 ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』はこれまで何度も映像化されてきたが、今回のティム・バートン版はどれにも似ていないはずだ。それは、VFXを駆使した3D映画という技術的なことだけではない。何しろここに登場するアリスは19歳。彼女は親が決めた退屈な男との結婚という現実から逃避して、再びアンダーランドという不思議の国にやってきた。いわば後日談として善かれたオリジナル脚本(リンダ・ウールヴアートン)なのである。
 バートン監督はSFや怪奇映画を偏愛し、往々にしてそれらと係わる題材に自分の個性を織り込んで独創的な作品を生み出してきた。異端的なものへのシンパシーもまた顕著な特徴だ。今回も決して例外ではない。
 原作のとりとめのない幻想性を踏襲する映像作品を「小さな女の子が奇妙なキャラの言いなりになって彷撞い歩くだけ」と感じていた彼は、原作の枠の中に豊かな物語性と情感を注ぎ込み、冒険とアクションを惜しみなく羽ばたかせる。もちろん、得意のダークなユーモアをまぶすことも忘れていない。19歳のアリスは、「首をはねよ!」が口癖で頭がデカい赤の女∃;の独裁からアンダーランドを解放する伝言縫の救世主。剣を手に、恐ろしい怪物を退治する勇者という設定だ。さらに、どのキャラも素敵にイカれている。7作目のコンビとなる盟友ジョニー・
デップが演じる目がデカいマッドハッター(帽子屋)を筆頭に、どこかズレた愉快な個性と人間的な感情を与えられ、「戦うアリス」を賑々しく支える。
 そして、最初は19世紀半ばの英国のしきたりになじめない異端者だったアリスは、だんだん自分の運命を受け入れ、精神的に成長し、現実に立ち向かい、自分の力で未来を切り開いていく。
 ファンタジーと見せて、現実に帰着する。これもまた「バートンらしさ」なのだ。
(稲垣郁々世・映画評論家)
17日から全国公開。

3 件のコメント:

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