2014年4月4日金曜日

哀愁、滑稽‥・架空の武者たち奮い立つ(326asahi)

野口哲哉、東京・練馬で


 ジェット噴射機のような容器を背負って甲冑姿の武者が、歯を食いしばって高速で飛行する。荒唐無稽だが、超リアルな姿に「アリかも」と思わされてしまう。そんな武者像が立ち並ぶ「野口哲哉の武者分類図鑑」展が、東京の練馬区立美術館で開かれている。
 野口は1980年生まれ。2003年ごろから、樹脂やプラスチックなどで武者像を制作している。今回が美術館では初の個展。大小さまざまな武者像を中に、古びた味わいの絵画や絵鳥など約90点を展示している。
 現存する申宵や古画、文献資料などから創出された武者優には、作家自ら書いた解説がつけられる。例えばTalking Head」=写真=の武者は、黒熊を模した「着用時だけ覚醒する付喪形式」の兜をかぶり、その発言に耳を傾けている、という具合。架空の物語を背負った武者たちは、ときに滑稽で、ときに哀愁漂うたたずまいで鑑賞者を引きつけている。(西岡一正)▽46日まで。月曜休館。図録「侍達ノ居ル処。」(青幻舎)が刊行

された。

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