2013年12月13日金曜日

私の劇場2013

美術学科主任建石修志の参加している展覧会のお知らせ。

2013年10月31日木曜日

少年とウサギ展

美術学科主任建石修志も4点を出品しています。



2013111日[金]~2013122日[月]
月~金/13:0020:00 土日祝/12:0019:00
入場料:500
展覧会 会場:parabolica-bis[パラボリカ・ビス]
東京都台東区柳橋2-18-11 ■TEL: 03-5835-1180 map

再び、幻想の季節へ。夜想の密かな願いを「少年とウサギ」というテーマに託し、この六年の夜想とパラボリカ・ビスを支えてくれた作家たちに作品をお願いした。
この展覧会から、夜想とパラボリカ・ビスは、一歩を踏み出す。作家たちのイマジネーションに助けられて、展覧会から新たな息吹が始まる、そんなことがあっても良いのではないかと思う。二〇一〇年代以降の幻想は、古典的な幻想の良さをルネッサンスしながら、新しい源泉から生まれる目を見張るものになって欲しい。いや、この一歩を期にゆっくりと進んでいきたい。(今野裕一)

2013111日[金]~20131125日[月]
[第一会場]mattina/コーディネイト:今野裕一
建石修志/七戸 優/鳩山郁子/妖/横田沙夜/中川ユウヰチ/オカムラノリコ/中川多理/LIEN/三上鳩広
2013118日[金]~2013122日[月]
[第二会場]nacht/コーディネイト:篠塚伊周
土谷寛枇/神宮字光/中川多理/槙宮サイ/ヒラノネム/吉田美和子
20131115日[金]~2013122日[月]
[第三会場]Quartier blanc/コーディネイト:北見和義
PAPANDA's Collection


★[第一会場]mattinaに、三上鳩広さんの参加が決定いたしました!

貨幣に宿る夢と絶望

平野正樹写真展

アベノミクスの喧噪の陰で、国債暴落による財政破綻のリスクが懸念されているという。世界の歴史には、財政破綻がハイパーインフレーションを招き、預金や資産が失われた事例があまたある。その衝撃を映像化した写真家・平野正樹の「MOney」シリーズが、埼玉県東松山市の「原爆の図丸木美術館」で展示されている。
 平野が注目したのは、大日本帝国の崩壊によって紙くずと化した紙幣や債券の類い。
実物の表裏両面をスキャナーで読み取り、大型プリントで細部まで克明に見せる。「戦
時貯蓄債券」や「徴兵保険証書」が戦時下の内地の状況をうかがわせる一方で、「満州
中央銀行券」やマレー半島で日本軍が発行した「百ドル札」は、アジアに版図を広げ
た日本近代史を思いがけない形で想起させる。国家が瓦解すれば、紙幣は価
値を失う。自明の理だが、おばろげな背景に浮かぷ紙幣の鮮明な像には「紙くず」にと
どまらない生々しさがある。例えば、ぽろぽろの「朝鮮銀行券」には日本統治下の庶民
の夢と欲望、憤怒と絶望が染み込んでいるかのよう。貨幣と私たちとの名状しがたい関
係がそこに潜む。
 平野の個展「Afterthe FaCt」 (119日まで)に出品。同展には他に、サラエボ内戦後に残った弾痕を抽象画のようにとらえた「HOleS」、東ティモールで焼き払われた民家の窓をモチーフとした「Windows」など、現代史の痕跡を追ったシリーズも含まれる。     (西岡一正)

2013年10月24日木曜日

分析すり抜ける無限の謎(1023asahi)

横尾忠則の「昭和NIPPON」

物事を整理・分類し、独創性を重んじること。あるいは技術を磨き、前進、進歩してゆくこと。画家・横尾忠則(77)の表現は、こうした近代の価値に何かにつけて反し、あるいはそこから逸脱してゆく。青森県立美術館での大規模個展は、そうした思いを強く抱かせる。
 まず、展示構成。様式やモチーフではなく、戦後日本の精神史を手がかりに、「日本資本主義」 「忘れえぬ英雄」といった章ごとに、絵画やポスター、雑誌の原画などが時代を超えて集められている。昭和史、特にその大衆的、土着的な側面に、強い色彩と奔放な筆の絵画などを通し、一人で呼応できる驚き。同時に、こうした筆立てが次々に無効化される快感を味わう。例えば、「陰惨醜悪怪奇」なる章の絵画「地球の果てまでつれてって」 (1994年)=写真上。洞窟内の泉のような場所でエロチックな光景が展開される。見てはいけないものをのぞき込むような少年たち。そして奥には赤いキノコ雲。これらは
他の作品でも繰り返し登場するし、この一枚も、「泉」の章でも「幼年時代」の章でもおかしくない。分野分析してもスルリと逃げてゆき、謎めいた魅力を残す。副題にある「反復・連鎖・転移」のゆえだろう。
 近代の表現といえるグラフィックデザインからスタートしながら、81年に画家宣言した横尾の表現を美術史に位置づけたくもなるが、模写や引用の多用ならポップアートだし、大きな筆遣いと鮮やかな色彩はニューペインティングや表現主義に通じている。いや、夢と現実、生と.死が混交する以上、超現実主義や象徴主義あたりか。でもそのどれでもなく、また反復、転移してゆく。毎年のように各地で横尾展が成立しうるのは、解釈も無限に転移するからだろう。
 そして、建築家の青木浮が縄文遺跡の発据現場に着想を得た建築空間。展示室が洞窟のように連なり、塵や床が土でできている部分もあり、作品の土着的な魅力を引き出す=同下。見終わると、また振り出しに誘導するのも心憎い反復性だ。
 ここにあるのは、土俗的な前近代なのか、大衆的な脱近代なのか、情念の一人ポストモダンなのか。常識はずれの規格と無限の謎を秘めた世界は、頭をクラクラさせながら堪能するほかない。 (編集委員・大西若人)
 ▽11月4日まで、青森市安田の青森県立美術館。図録は赤々舎から刊行予定。

熱量の高さを継ぐ(1023asahi)

東谷隆司さん追悼展

 韓国・釜山ビエンナーレ2010の芸術監督な領潜盈t昨年10月に44歳で急逝した東谷隆司さんを追悼する企画展「未来の体温 after AZUMAYA」が、東京・・白金の二つの画廊で開かれている。
 親交のあった美術評論家の植木野衣さんが企画を担当。題名は、東谷さんが世田谷美術館学芸員として企画した「時代の体温」展(1999年)と、独立後に手がけた「GUNDAM 来たるべき未来のために」展(2005年)にちなむ。いずれも現代美術から音楽、アニメ、漫画など同時代の表現を横断する展示だった。
 「作家でもあった東谷さんはキュレーター(展覧会企画者)としても主観を打ち出し、『熱量』の高い展示を実現させた。その意思を受け継ぎ、原発事故後の状況を踏まえて、
いま見るに値すると考える作家を選んだ」と梶木さんは話す。
 出展は、原発監視カメラを指さし続ける作業員の映像で話題を呼んだ竹内公太ら4人。自らが歌手マドンナの胎内に宿り、再び誕生するという、東谷さんの東京芸術大卒業制作
なども展示している。11月2日まで、白金アートコンプレックス(港区白金3の1の15)内
の「アラタニウラノ」と「山本現代」。日・月曜休廊。

多くのねじれと謎(1016asahi)


「アンリ・ルソーから始まる素朴派とアウトサイダーズの世界」
 きちんとした美術館に作品が収まり、展示されること。美術を志す者の多くが願うことだろう。この展覧会に作品が並ぷ人のほとんどはしかし、そんなことは考えずに措き、作り続けてきたといえる。1986年開館の東京・世田谷美術館が集めてきた、素朴派やアウトサイダーアートと呼ばれる作家たちだ。
 専門教育を受けないまま、あるいは心の病を抱えて創作する人々たちの作品は、今や様々な展覧会が開かれ、今年のベネチア・ビエンナーレでも中核を占めていた。今展は、収集の起点でもあるアンリ・ルソー(1844~1910)の4点で始まる。パリの税関に働めつつ、描き始めたのは40歳ごろ。平板で簡潔な、でも温かみのある、なるほど素朴な表現を見せる。
 しかし本人はプロとして評価を得ることを望んでいて、ピカソらも高く評価したという。そんなこともあって、展示でも他の作家と隔てた扱いをしている。このねじれが、まず興味深い。いや、この展覧会には、多くのねじれ、謎が潜んでいる。
 風景や花、人物を、見たままに素朴に、あるいは異様に細かく、あるいはデフォルメして描いた作品群の多くには、確かに素人っばさが残る。でも、同じょうな絵を元気鬼子供が学校で描いたとしても、美術館に収まる可能性は低いだろう。見いだす人、時の機運、さまざまな偶然が重なったに違いない。一方で、美術史に位置づけたい表現もある。現クロアチアで郵便配達をしていたイヴァン・ラッコヴィッチが描いたガラス絵の「散在する村落」 (83年)=写真上=は、超現実的で雄大な構図と小さく措かれた楽しげなブリューゲル風の人々の対比が、大きな魅力となっている。
 心の葛藤と闘ってきた草間蒲生の作品もあるが、今や現代美術の代表的存在であり、もうアウトサイダーとは呼ばれないだろう。だからアウトサイダーアートなどの枠組みは、作品評価に先入観を与えるともいえる。
 でも、カメラ店を営みながらシベリア抑留休験を措いた久永強=同下は「生け軋廃山 (93年)=らの、名声や評価のためというよりも、やむにやまれぬ思いで措いた作品には固有の強さがある。こうした枠組みが、表現の原点に摸する機会を与えてくれていることば、間違いない。  (編集委員・大西若人)

はかなさと大胆さと(1009asahi)

日産アートアワード8人の競演

 次代を担う表現者を対象とした「日産アートアワード2013」の最終候補者8人による現
代美術展が11月4日まで、横浜市中区海岸通の「BankART Stud・10 NYK」で
開かれている。
 グランプリ(賞金500万円)を受けた宮永愛子(1974年生まれ)は、港の見える窓際に、ナフタリンや樹脂で作ったスーツケースをいくつも並べた。港町・横浜に想を得た表現
で、ナフタリンは持とともに消える存在でもある。
 審査委員長の南催史生・森美術館長は「場所の特性を生かした上に、すべてのものは永遠ではないという価値観が伝わる」と評価。賞を創設したカルロス・ゴーン社長も「革新的で創造性豊か」と感想を述べた。
 宮永と最高賞を競った西野達(60年生まれ)は、審査員特別賞に。近代化の先進地・横浜にちなみ、展示室に公衆トイレと上下水道のシステムを持ち込む大胆な表現を見せている。
 映像作品も多く、安部典子(67年生まれ)は、中央がくぼんだ多層的なスクリーンに波の画像を投影し詩的な表現に。小泉明郎(76年生まれ)は、戦時中に特攻隊員の恋人と死別した女性に思い出を聞き、さらに亡き恋人と対話をさせる。演出通りにならないところに、′歴史の受容の難しさ、個別性が浮上す
る。
 ほかに、増山裕之、篠田太郎、鈴木ヒラク、渡辺英司が出品している。